風水について考えるブログです.

現代の風水は,非常に複雑な容貌を持っています.
もちろん,古代風水も単純ではありませんが,それなりに筋が通っているように思えます.
中華圏で発生した風水は, 風水であるだけに周囲の地理的環境の影響を受け,変化したようです.
さらに,世俗的な欲求から,多様な要素が付け加わっているようです.

これらを整理してみようという試みです.
 

2010年5月15日土曜日

「学」と「術」

 
 「風水の基本は…」という話から始められればいいのですが,それは不可能なようで.
 あまりに雑多なものが付け加わっていて,なにが基本なのかがわからない.
 たぶん,広大な中華圏のさまざまな土地の土俗宗教,言い伝え,などが渾然一体となって構成されているのが風水なんでしょうけどね.

 三浦國雄「風水講義」(文藝春秋)には,「ごく単純化して言えば,前者は「学」で後者は「術」というまったく質の異なるもの」があるとしています.
 つまり,風水には「学」と「術」があるということでしょうか.

   


 「学」の方は古代の中華圏(台湾や朝鮮を含む)において,生活技術として使われた風水を,民俗学的な立場で明らかにしていこうというもの.これは,「なぜ中華圏には『現代自然科学』が発生しなかったか」という科学史上の問題でもあります.
 もう一方の「術」は,(現代も含めた)社会におけるさまざまな問題を解決するための,いわば応用ともいうべき風水です.あらゆるところに手を出そうとしますから,あらゆるものが含まれてきます.風水が複雑なのは,広大な中華圏における多様な地理環境のためだけではなく,庶民の生活に密着した雑多な問題を解決しようという試みのせいでもあるわけです.

 出典は忘れましたが,「学」の方からみると,「術」は(とくに現代風水は)「ちまちま風水」といういい方もあるようです.
 風水を単純化して整理しようとする「学」に対して,日々,雑多なものを付け加えようとする「術」に対する,「イライラ感」が現れているような言葉ですね.

 私の感覚をいえば,「学と術」は,「表と裏」あるいは「陽と陰」のような関係にあるものではなく,その境目はごく曖昧な…もののような気がします.
 思わず,「陽と陰」といってしまいましたが,これが正しいかもしれない.もちろん,「太極図」における「陰と陽」の解釈ですね.
 二つ分かれているように見えますが,陰の中に陽があり,陽の中に陰がある.二つは絡まり,これを永遠に繰り返す….
 

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