前回,「環境の違うところでは「風水」が違い,「風水論」も異なります」と,書きました.少し補足します.
いわゆる“風水本”の解説でよくあるのが,「地形派」vs.「方位派」というわけ方.こういうわけ方は,「陽=善」,「陰=悪」みたいな受け取りかたとおなじで,そもそも,東洋的でない.「善」と「悪」に分けるのは人間の都合,それも,かなり幼稚な都合ですね.「アンパンマン=正義」,「ばいきんまん=悪」みたいな.
図は,村山知順「朝鮮の風水」に示された有名な図で,いわゆる「せいきモデル」(漢字で示さないのは,検索サイトを通じて“妙な”サイトとリンクされるのを防ぐためです)というものです.
風水の解説本には,必ずといっていいほど載っています.

まず,こういう地形が実際に存在するか,どうか,かなり疑問です.
モデルだから,まったく同じものはないであろうことはわかりますが,Google earthなんてものが,存在するにもかかわらず,これと類似した,これぞ風水地形という地形が示されたことないというのも“妙な”話ですよね.
これは,「桃源郷伝説」に関係してるんだと思います.沢の選択を一つ間違えても,そこにはたどり着けない,という.
これについては,また別の機会に,話を続けましょう.
それはさておき,こういう地形が実際に存在するかどうかは別として,あるという仮定でいきます.
子供にでもわかることは,こういう地形は,山間部にしかありえないということです.
山間部だと,あり得るのかという話は,また別の機会に.
地質によっては,複雑な沢地形をつくり出すことも,考えられますので,希にはあるかもしれない.
さて,中国でも,南部の山間部,モンスーン地域では,こういう風水もあり得るかもしれません.
しかし,中国中央部の黄土地帯=大平原ではどうでしょう.また,北部の岩石砂漠ではどうでしょう.このような,風水地形論は意味がないですね.
頼るものは,方位しかありません.したがって,方位に頼るしかない.
ただ,目印もろくにないような,大平原あるいは砂漠で,「風水」が必要かどうかは疑問ですが.
でも,風水にとって,「地形が重要か,方位が重要か」という議論は,その地域次第であって,あまり重要な意味はないということはわかりますよね.
モデル図について,注意しておかなければならないことがもうひとつ.あれは,引用元が「朝鮮の風水」であって,“中国の風水”ではないこと.
したがって,これをもって,風水全般を説明して良いのだろうか,という疑問が先ずあるはずですね.